With コロナにおける新規サービスの見つけ方 その2

さて、前回前々回に続いて今回もWC(With corona)におけるC向けWEBサービスの見つけ方について言及していこう。

今この記事を書いているのは2020年5月3日、ゴールデンウィークの初日だ。
最初の緊急事態宣言があと3日で終わるが、まあ更に一ヶ月延長されることがほぼ確定、まさにそんなタイミングだ。
さてそのような状況において、C向けWEBサービスは今までになかった勢いで新たなサービスが続々とリリースされてきている(まるでカンブリア爆発のように)。
そしてそのリリースされているサービスにも幾つかの偏りが見られてきた。
まず新規C向けWEBサービスを大きく分類されると、「オフラインからオンラインへのリプレイスを狙ったサービス」と「コロナで生まれた新たな余白を埋めるサービス」に分類される。
今回は語りたいのは前者のほうだ。

「オフラインからオンラインへのリプレイス」
これに関しては前回の記事で結構詳しく書いたので概要については説明する必要は無いだろう。
昨今目立つ新規C向けWEBサービスも当然大半がこれに分類される。
そしてそのプレイヤーの多くは、既存のオフライン事業者だ。
つまりもともとオフラインでその事業を営んでいるものが、オフラインが使えなくなったことで窮地に陥り、それを打破するためオンラインに展開し始めている、というまあ当然っちゃ当然と言える流れだ。
多くの場合、既存事業者にはその事業に対してのアセットがあり、そして大抵はそのアセットがアドバンテージになる場合が多い。
それ故にまっさらな新規事業者に比べて勝算がある、というわけだ。
だが、この最近のリリースをチェックしてみると、どうもこの辺りを勘違いしている既存事業者が非常に多い様に思える。
自分たちのアセットを活かしきれてないと言うか、もっとハッキリ言うと見当違いの事をしている事業者ばかりが目立つのだ。
具体的にこの手の事業者が何を理解していないのか。
それは「同じ業界と言えどそもそもビジネスモデルが違う、それ故にアセットが違う」ということだ。
ここを少なからざる人たちが勘違いをしていて「同じ業界で今までやっていたことだからオンラインにしても成功するだろう」とか「アセットがあるんだからそれを活かせばうまくいくだろう」とか、十把一絡げに雑に捉えて何一つ深堀りが出来ていない、非常に安直な横展開をしてしまっているのだ。

どういうことか具体例を上げよう(バイネームはしないようにしているが、分かる人には分かってしまう。まあその辺りは勘弁してほしい)。

まずはシステム、ビジネスモデルを勘違いしてしまった例をあげる。
例えばここにイベント紹介サービスがあったとしよう(何が例えばここに、だ。白々しい。僕は明確にとあるサービスが頭に浮かぶ)。
そこは今までとある業界にフォーカスしたオフラインイベントを紹介しており、まあ決済システムを導入し、送客ビジネスをしていた。
しかし今回コロナによってオフラインイベントが開催できなくなり、ビジネスモデルが根底から覆された。
そこでそのサービスは、そのイベントをやっていた主催者を集め、オンライン講座を開き始めた。
つまりその運営者の想定としては、オフラインイベントを多数紹介していたことで主催者と繋がりネットワークができた、これを活かしたサービスをしたい、と考えたわけだ。
この場合、彼らが強みだと思っているアセットとはイベントの主催者とのネットワークだ。
これはまあ強ち間違いではない。
彼らの今までのビジネスモデルだと、そのネットワークがあるかないかでビジネスの勝敗が決るからだ。
ネットワーク=競合優位性とも言える。
んが、今回彼らが行おうとしているオンライン講座に関しては、これが肝となるビジネスドライバーかと言われると、全くもって違う。
そりゃ、無いよりゃある方がマシだが、ハッキリ言ってその程度である。
オンライン講座に必要なものは、「気が効いて安定しているシステム」、「教える事に特化している講師」、そして何よりも「何かを学ぶ事に金を出す事を厭わない買い手」の存在だ。
そこには決して「イベント主催者とのネットワーク」は含まれない。
もちろんイベントを主催するぐらいなんだからそりゃ相応のスキルがあることぐらいは容易に推察できる。
でもそれにしたって、実際のスキルがあるのと教えるスキルというのは全く別であり、プレイヤーとして凄くてもコーチとしては凄くないなんてことは往々にしてどこの世界にもある話だ。
そんな中、ただ単にイベントを紹介していただけの会社が、ここに来て全く関係のないオンライン講座をやろうにも、そもそもビジネスモデルが完全に違うので一からシステムを構築しないといけないし、講師も集めないといけない。
何より最も大切なお金を出す買い手を集めないと話にならないのだ。
イベント紹介サイトに来てたユーザーは、イベントに行きたいユーザーであって、それそのものに金を出して習いたいユーザーではない。
皆だってそうだろう?
音楽のライブにはいくけど、どのぐらいの人が金を出して楽器を習ったことがあるのか。
漫画が好きだけど、漫画学校に通ったことがある人がどれだけいるのか。
根本的にユーザーの属性が違うのだ。
そんなもんだから、イベント主催者が実際物を教えるつもりになったとしても、「システムが出来てないし買い手もいないサービス」か「システムが出来てて既に買い手がいるサービス」のどちらを選ぶというのだろうか。
根本的に間違えた横展開と言える。

次にもう一つ完全に間違えた例を上げる。
今度はアセットを勘違いしてしまった例だ。
とある業界のコミュニティがあったとしよう(本当に白々しい。それはそこに間違いなく存在しているのだ)。
そこでは特殊な属性の人達が日々活発に交流をしている。
まあコミュニティ自体はとてもワークしているし、傍から見ても良い運営だと判断できる(これは本当にそう思っている)。
んが、残念ながらその業界は今回のコロナで壊滅的なダメージを受けた。
それ故にコミュニティで交流していた人たちも少なからざる人が職を失うことになったわけだ。
そうするとコミュニティオーナーはその現状をなんとか打破しようと考え、その結果行き着いた先が、その業界の失職者を他業界の求人に送り込む、ということだ。
彼らが考えたアセットとは、その業界の人そのものであり、もっと細かく言うと、その業界での経験で得たスキルをもった人だ。
では果たしてこれがアセットになるのか。
まずハッキリ言っておきたいのだが、よほど特徴的な業界でない限り、そこで得た普遍的なスキルというものは、大概他の業界でも同様に学ぶことができる。
普遍的ではない業界特有の知見はもちろんその業界で働かない限り得ることはできないが、その知見が役立つのは同じ業界内に限る。
つまり、そのコミュニティオーナーは、コミュニティメンバーの武器を「心遣い」「営業スキル」「ヒアリングスキル」「事務処理能力」なんて謳っていたが、冗談ではない。
そんなもんは今日日そこいらへんの接客業や事務でも幾らでも学べる。
何もその業界でしか学べないわけではないのだ。
そのコミュニティメンバーは確かにその業界に特化した知見があるのは認める。
だが目立つアセットとしてはそれぐらいなもので、アセットを有効に活用したいのならば、その業界内で転職活動ができるプラットフォームを運営するのが最適解だ。
例えば仮に漁師のコミュニティをもっていたならば、漁師が他の漁師の手伝いをできるプラットフォームを作るとかならば、アセットが活かせるし、アドバンテージになって良い展開と考えられる。
しかしここで自分が属してる業界が軒並み潰れたから他の業界に就職斡旋しようというならもう一気に話は違ってくる。
そうなると手持ちのカードなんて「どこにでもいるそこそこ訓練された専門性が何一つ無い接客業の人を少数抱えてる」ぐらいしかなく、そんなもんは転職サイトを運営する上で糞の役にも立ちゃしない。
ましてや転職サイトなんて海千山千猛者がひしめき合い、求人数も求職者数も圧倒的にいる、という状況だ。
自分たちのアセットを完全に活かしきれてない間違えた最たる例だろう。

この様に、WC時代が始まった今、様々なプレイヤーが試行錯誤し、現状打破、あるいは一発当てることを目論んでいる。
それ自体は本当に歓迎する事だし、心の底から素晴らしいと思う。
だが、それ故に大半が深堀りができておらず、安直な展開を行い、無謀な戦いを挑もうとしているのだ。
お願いだから一度冷静になり、アイデアを深堀りした上で、事業を始めてくれればな、と心の底から思う。

起業は難しい。
是非頑張ってもらいたい。

あ、そうそう、今回珍しく二つのサービスを例に出してネガティブな事を書いてしまった(ネガティブな事はよく書くけれど、特定のサービスを出すことは今までなかった、と思う)。
これに関しては不愉快な思いをした人もいると思うが、ここは一つご容赦願いたい。
前にも書いたが、何かを始めるに当たって、先駆者の死体を墓場から掘り起こして死因を調べる行為は非常に大切なのだ。
どうかご理解いただきたい。

それともう一つ。
この記事は僕が運営している起業家コミュニティ IT Startup community に出した記事のリライトである。
当コミュニティではこういった内容の記事を頻繁に提供しているので、興味があったら是非ご参加いただきたい。
今だとWCで起業したい人向けに幾つか小さなビジネスアイデアを提供し、有志の人たちで開発をし、実際に幾つか事業が立ち上がるなど、とても盛り上がっている。
そういった起業の練習ができるし、もちろん僕も全面的にバックアップするので、まあ楽しんでもらえてるんじゃないかなと思ってる。

以上。

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