パワーバランスの弱い方に沿った作りにすると大抵失敗する

今回はCtoCマッチングサービスのサービス設計に於いて重要なポイントを語る。
「パワーバランスで弱い方に配慮したサービス設計は基本的に上手くいかない」
これは初めて起業を志す人の多くが間違えてしまうところであり、そしてこの初期設計での失敗は後々リカバリーが効かない類のものなので、しっかりと本文を読んでもらいたい。

さて、起業家がサービスを立ち上げる際、そこには必ず理由がある。
何かしらのペインを解決する、というのがその基本であり、それを細分化すると幾つかに分かれ、まあそのうちの一つに弱者を救いたい、困ってる人を救いたい、というものがある。
その弱い人や困ってる人を助けたい、というサービスを立ち上げる事そのものついては非常に良いと思うし、ある種感動すら覚える。
だが、その肝心要なサービスの設計を作る時、ここで間違いが生じる。

CtoCマッチングサービスに於いて基本的にステークホルダーは3人いる。
売り手、買い手、運営、だ。
この場合、困ってる人や弱者は大抵の場合売り手に回ることが多い(この場合の売り手とは、何か物を売るだけじゃなく、スキルや知識を提供するケースもある)。
それらに対して、お金に余裕がある人や、それらのスキルを求めてる人が買い手になる。
運営ってのはまあ当然起業家のことだが、今回の話にはあまり関係はない。
で、起業家がサービスを考えたキッカケは、当然この売り手である誰かを救ってやりたいから始めたわけで、売り手LOVEな起業家は当然売り手ファーストの作りにしてしまう。
売り手にとって都合が良いシステム、売り手に負担のない設計、売り手に有利な料金設定、売り手に使いやすいUIUX、売り手が喜ぶキャッチコピー、などなど。
だが、ちょっとまってもらいたい。
これこそが、残酷ながら決定的なミスなのだ。

まずCtoCマッチングサービスに於いて、そこには明確なパワーバランスがある。
売り手市場なのか、買い手市場なのか、だ。
多くの場合、金を出す買い手が強い。
もちろん例外があって、売り手の物やスキルがレアであればあるほど売り手が強くなる。
で、今回の話だと、間違いなく前者の買い手が強い。
なぜなら売り手がレアでパワーバランスが強い状態ならば、そもそもそんな奴は困っていないわけで、故にそんな余裕がある奴を救いたい酔狂な起業家も存在しない。
起業家が救いたい売り手は弱者であり、困ってるいるわけで、それは言い方を変えれば、「自分のスキルや物に競合優位性がなく競合も沢山いる、あるいは社会的に価値があまり無いとされている、ゆえに高値がつかず、お金に困っている状況」なわけだ。
わかりやすく言うと、売り手は「すいません、どなたか買ってください。お願いします。安くしますから。頑張りますから」という状態なのだ。
それ故に起業家も「彼らは立派だから救ってやらないといけない!」と思うわけだ。
しかしその気持ちを引きずってその売り手に都合の良いサービス設計にするとどうなるか。
答えはもう明白で、貴重で大切なお金の出し手である買い手が「なんだよ。買ってやろうかって気になったのに、こんな不便なのかよ。なんで俺だけ負担しないといけないんだよ。もういいわ。他で買うし。つかそもそも間に合ってるし」となり、トランザクションがそもそも発生しない。
それではどうしたら良いのかと言うと、運営のスタンスとしては「買い手さん、売り手は頑張ってるんです。物は良いんですよ。あなた方に使いやすく、便利になってます。面倒な手間や負担は売り手が引き受けるので、あなたはお金さえ出してくれれば大丈夫です。全て楽ですよ」という設計にしなければならない。

つまるところ言い切ってしまうと「パワーバランスの弱い売り手を救いたいのならば、お金を出してくれる人を優遇して招く必要があり、諸々面倒な負担は売り手が負うべきである。そうすれば結果的にお金が売り手にチャリンチャリンと落ちてきて、救いたかった売り手も救われる」というわけである。
「便利で手数料も低いけれど買い手がいなくて全く売れないサイト」か「不便だし手数料ガッツリ取られるけど買い手がめちゃいて実際売れまくるサイト」のどちらが良いか。
どっちが結論的に売り手を救ってあげられるか、ということだ。

これは本当に言いづらいテーマであり、それ故にあまりWEBで公言する人もいないと思うが、でも本当に大切な部分で、そして実際多くの人が間違えた設計をしてしまっている。
CtoCマッチングサービスに於いて、パワーバランスの弱い方に沿った作りにしてはいけない。
今回はこの事を強く覚えておいてもらいたい。

以上。


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