スイッチングコストという魔物について

WEBサービスを多数メンタリングしていると、多くの人に共通している項目がある。
その一つがスイッチングコストという概念に対する考え方だ。
大半の人がこの概念がそもそも欠けていたり、または軽視している。
結果どうなるかというと、サービスをリリースするも上手くグロース出来ない事になる。

スイッチングコストとは何か。
それは読んで字の如く、既存のWEBサービスから新規のWEBサービスへ利用をスイッチングする際にかかる諸々のコストのことだ。
コストという名の通り、金銭的な面もあるが、それ以外にもデータの移行やネットワークの移行など、物理的な面や心理的な面などを含めて指す。
スイッチングコストの理想はと言うと、他社サービスからの移行時は低く、自社サービスがShareを持ってる際は高い状態が望ましい。
移行はしやすく、他所への流入は難しい、というのが理想的な状況だ(当たり前っちゃ当たり前だが)。

ではスイッチングコストはどの様な状況だと高くなるのか。
それには幾つかの要素が考えられる。
例えばコミュニティなんかが一番の解だ。
コミュニティが土着しているとスイッチングは基本起きない。
エクスポートが出来ない蓄積されたデータ、というのも解だろう。
Rettyなんかのライフログ系をイメージしてもらえると分かりやすい。
あとは、エンゲージメントを上げるとか、ストレートに契約で縛るとか、手続きの面倒さなど、中には使い所の難しい施策などが幾つか考えられる。
ま、この話は長くなるのでここでは割愛する。

本題に戻ろう。
多くの新規WEBサービス運営者がスイッチングコストを軽視していると書いたが、それでは具体的にどういうミスを犯しているのかを記す。
とても重要な事なので良く読んでもらいたい。

僕のところに来る相談の多くの人が「既存サービスだとこういう事が不便なので、うちだとそれを解決できるんですよ!便利でしょ!」とドヤ顔で説明してくる。
確かにペインというのは起業において最も重要な要素であり、それに最適なソリューションを提供するというのが起業の本質だと言うのにも異論はない。
しかしここで、はっきり言っておく。

「既存のサービスで8割9割課題が満たされてるものに対して、仮に残りの1割を埋めた所で基本的にスイッチングは起きない」

2020年のこのご時世、そんなそれ一発でスイッチングが起きるほど強い課題が残されてるなんてことは、ことC向けWEBサービスにおいてはもう無いのだ。
しかも既存サービスがある状態ならば尚更だ。
どこの馬鹿が自社サービスを何年も運営していて、1個改善されただけでスイッチングが起きるような課題を放置してると言うのだ。
大抵の人が見つけた宝の山だと勘違いしている課題なんてのは、その既存運営者も重々承知してるが優先順位的に低いから後回しにしている言わば「弱い課題」に過ぎない。
その弱い課題を一つ埋めた所でスイッチングなんて起こりようも無いのだ。
多くの若い起業家はこのさじ加減を分かっていない。
おそらく既存サービスを使っていて「ここ不便なんだよな。もっと改善したら良いんだよな」と思うところがあるんだろう。
そこで暴走してスイッチングコストという概念を忘れて、それだけを解決するサービスを作ってしまう。
結果鳴かず飛ばずで潰れていく。
何年もメンタリングをしていると、そんな光景を腐るほど見てきた(いやもう本当にウンザリするほど)。

このブログをご覧になった方は、今一度スイッチングコストという、扱いづらい、けど直視しなければならない、厄介な概念を見直してもらいたい。
起業を志す人ならば、なおさら念頭に入れて事を起こすのを願うばかりだ。

以上。

さて、本文は終わったが、久々にサロンの宣伝でもしておこう。
ご存知か分からないが、僕は起業家または起業を志す人向けのコミュニティ「IT startup community」というものを運営している。
まあ早い話オンラインサロンだ。
内容的には、今回の記事のような起業のノウハウ提供から、新規WEBサービスの紹介・解説、そして良質なサービスの深堀りなんかをしている。
オフラインでは定期的にオフ会や勉強会をしている。
勉強会はとても人気で、サロンメンバー先行予約、特別価格を出しており、一般公開する前に埋まってしまう事は多々ある。
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今なら一週間お試し無料という、どこまでも至れり尽くせり仕様だ。

IT startup community

というわけで、今回の記事はこの辺で終わり。
気に入ってもらえたならば、Shareなり良いねなりコメントなり、何らかのアクションをしてもらえるととても嬉しい。
何気にやる気に繋がるので。


スイッチングコストという魔物について” への7件のフィードバック

  1. 質問
    既存の流通、既得権で縛られている魚の流通をペーパーレス、キャッシュレスの仕組みを作ると、それだけでも魚の流通が変わる。
    と思っているのですが甘いですかね?

    • それは課題が深いので、大きく変化が起きると思います。
      ただ逆に深すぎるので一個人の手に負えるものではなく、国や大企業を巻き込んでも果たして実現までどれだけ時間がかかるのか、そして仮にそれが成功しても果たして一枚噛めるほど価値が出せるのか。
      と、諸々考えると難易度が高すぎるのかなと。
      でも10年20年それに費やす!世の中を変える!漁業を救う!という決心があれば、懸ける価値はあるかと思います。

      余談になりますが、今、魚の細胞培養と3D食品プリンタに興味があります。
      完全に漁業がひっくり返されるとまでは言いませんが、魚食に関しては大きく変化が起きるのかなと。
      これから科学技術が進歩するにつれ、陸上養殖がコスパ的に良くなる可能性と、人工培養が普及する可能性を考えると、どうも後者のほうが感度が高いのではないか、と思ってます。

      • 返信ありがとうございます。
        10年20年で変えられますか…?
        ほんの30年前は、ほぼ市場を通した流通だったものが宅配など個人への流通、SNSなど情報の氾濫、現金、銀行振込以外のお金の流れ…良い悪いは別にして多様化しています。
        それでも豊洲市場は1日15億の商売をしています。ピーク時から1/3程度と言われていますが、生物(ナマモノ)を集めて全国 万国(輸出)に対応出来る眼(目利き)は武器になると考えます。それが無ければただの流通基地ですが…
        PC.タブレット.スマホが個人でも当たり前になって来ている今、QR.バーコード.プリペイド等で未払いを無くし決済速度の向上は可能と考えます。掛売りも銀行、信用会社などに手数料を払う事になりますが、現金を使わないだけでも市場決済から産地までメリット大きいと思いますが、いかがですか?

      • スマホひとつで受注文、発注、納品明細は十分と考えます。紙が必要ならばプリントアウトは自社でする?
        情報発信も一人ひとりに必要な情報が送れるでしょう?
        便利な道具があるのですから使わないと言う手は無い。
        ペーパーレス化は相当な経費削減と考えます。

        • 年月と言うよりどれだけステークホルダーのトップを落とせるかによると思います。
          国と市場と卸・仲卸と買参人のそれぞれトップをまとめて話を通して合意が取れるなら、1年後でも2年後でも可能なのかなと。
          ただそれを実行するのが一個人の手に余る、というだけで。
          例に挙げていらっしゃった産直やSNS活用などはステークホルダーが限りなく少なくて、要は個人の範疇で対応が可能なものばかりなので、早い導入が可能だったのかなと。
          キャッシュレスもペーパーレスも実現されれば本当に素晴らしいですし、メリットばかりだと思うのですが、国や偉い人が音頭をとって本腰を入れない限りキツイと思います。

  2. 細胞培養、陸上養殖…増える人口に対して自然界の海産物は足りなくなるでしょうから必要だと思います。それこそ国レベルで取り組む課題でしょうし、外貨獲得の柱になり得る事業ですよね?
    完全養殖しているマグロの産卵は同じサバ化であるサバで陸上で孵化していると聞いた事のあります。
    トラ河豚も陸上養殖をすると何世代か経つと無毒になると聞いた事があります。
    (マグロも河豚も真意や規模など解らない不確かな情報です 申し訳無い)
    何年も前 産地に行って話を聞いた時に、これからは獲る漁業から育てる漁業と言っていた方がいました。頑なに大漁を望む人が大多数でしたが(笑)

    • 細胞培養に関しては、僕も今ようやく調査会社にレポート作成を依頼したばかりなので、全くもって無知な状態で恐縮ですが……。
      そもそも論として養殖自体どうなんですかね。
      育てる漁業も実はイマイチ微妙で、培養する漁業、が最適解な気もします。
      命を育てることのコストが高すぎますよね。
      水質の調整、温度の調整、光源の調整、病気の問題、そして一番厄介な餌問題。
      これを全部解決した上で、天然物よりコストを抑える様にするのは結構無理な気が素人的にします。
      それより細胞自体を培養して切り身にする方が明らかに楽だし、安全だし、環境的にも良い気がします。
      肉と違って筋の関係上3Dプリンタに向いてるとも聞きますし。
      そうなるともう漁業の知識や魚育の知識は一切必要なくなり、別のスキルやアセットがアドバンテージになってくるので、色々勢力図が変わるのではないかなと。
      ちょっと時間がかかりますが、諸々調べてみようかなと思ってます。

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