墓場を掘り起こし死体を漁る事の大切さ

僕のような仕事をしていると、日々のインプットとアウトプットは言わば基礎体力作りのようなもので、まあ毎日時間を見つけてはセコセコとプレスに目を通したり、当事者にメール質問したり、リアルに会って内情を聞いたりしている(最近はだいぶサボってるけど)。
でまあ、そんなこんなで(主にC向けWEBサービスについてを)日々インプットしているわけだが、こんな事を何年も続けていると、幾つかの共通点が見えてくる。
今回はそのうちの一つについて語ろうと思う。
「死体を漁らない愚行について」だ。

キャッチーな見出しをつけてみたが、深い意味はなく、文字通りの意味だ。
つまり「何かのWEBサービスを考えた時に、過去に類似サービスを立ち上げたけど上手くいかずに潰れた他社のサービスを、死体解剖しないでそのまま自分たちも同じサービスを作り、過去のサービスと同じところで躓いて倒れる」この行為のことだ。
毎日毎日100本200本もプレスに目を通すと、まあ一ヶ月に一本の頻度で「あーまたこれ系か。はいはい、数年前から定期的な頻度で現れては消えるよね。あーやっぱ同じビジョン、同じ仕様だわ。こりゃまたいつもの原因で潰れるわ」というサービスにぶち当たる。

分かりやすい具体例を挙げてみよう(ちょっと敵を作ってしまうかもしれないが)。

例えば皆は映画や本や漫画は好きではないだろうか。
ご多分に漏れず僕も映画や本は結構好きで、最近だとスター・ウォーズのエピソード9をカウントダウン上映で見てしまった(ルークが好き)。
でまあ、Startup村の人も当然同じ属性の人が多く、そうなるとこれ系で起業を考える人が昔から一定数いる。
そうすると面白いことに、結局一つのサービスに何故かいきつくのだ(同じ雰囲気で育って同じソースをみてるからだ。Startup界隈の悪いところといえる)。
それが「自分の好きな映画や本をコレクションして、同じ作品が好きな人同士で繋がろう。同じ作品を好きな人が勧めてるものは自分も絶対気にいるはずだ」というサービスだ。
Rettyの本版、映画版、と言ったら分かりやすいだろう。
皆さんも同じだと思うが、もうこれ系は正直うんざりするほど見ていて、文字通り掃いて捨てるほど存在している。
しかもこの数年のことではなく、僕が二社目を立ち上げた2011年の頃すでに「あーもうまたこれ系ね。見飽きたよ」という認識だった。
そして恐ろしいことに、2019年になった今ですら年に1本2本は完全に同じコンセプト、同じ仕様のサービスが現れている。
結論から言うと、この映画だか漫画だかなんだか知らないが、これ系のサービスは、2019年の今新たに立ち上げてもほぼほぼ上手くいかない。
その理由としては、ライフログ系はそもそもスイッチングコストが非常に高い性質があり、古くからやってるサービスは更に輪をかけてコミュニティが出来上がっているので、どう考えてもShareをぶんどれないという事だ。
過去読んで気に入った漫画を登録して感想まで全部書くような備忘録扱いしているサービスが既にあるのに、何が何で新しいサービスで一からまた全部登録し直して感想や評価を入れなければならないのか。
土台そんなものはワークしない。

他にもう一つ具体例を挙げてみる。
こちらに関しては意見が分かれると思うが、まあこれを機会に僕も色々言いたいので、若干リスキーだけど紹介する。
それは「フリーランスの占い師やらネイリストに向けた諸々便利機能がパッケージされたサービス」だ。
たまに聞いたことはないだろうか。
フリーの占い師(エステシャンでもネイリストでも美容師でも何でも良いけど)の為に、自分のLPが作れて、それには決済機能やらカレンダー機能やら顧客管理機能やらが全てついてきますよ、的なものだ。
この手のサービスの是非については本当に意見が分かれることで、僕みたいなしがない起業家が断言するのは非常に不味いことなんだけど、ここはまあ僕のブログなのでとりあえず断定しておくと、これ系は上手くいかないし、上手くいってる例をほとんど知らない。
理由としては、これ系が唯一ワークするのは、自前で客との導線を既に構築している一部の人間だけであり、それ以外の人間にとっては結局集客力のあるプラットフォームに乗っかる方が好ましいからだ。
分かりやすくはっきり言うと「機能が充実して超便利で手数料が低いけど客がいないサービス」か「若干使いづらいし手数料も高いけど客がめちゃくるサービス」だと、どう考えても後者のほうが良い。
バイネームで具体例をあげると、独立したばかりのフリーの占い師にとって、めちゃ格好良いLPで決済機能とかついてる便利だけども客は自分で用意しないといけないよりは、若干使いづらいし手数料高いけど占ってもらいたい人が沢山いるココナラのほうが遥かに良いわけだ。
つまりこの手のサービスのビジネスドライバーは、便利な機能ではなく、集客力だ。
サービス運営側の言い分としては、集客力を運営が用意する必要ないので省コストで運営できる、とか、スイッチングコストを上げるために決済などの必須機能を盛り込んで囲っている、とか、本質的にはSaaSであってプラットフォームではない、とかなんとかゴチャゴチャしたのがあるのだろうが、僕に言わせりゃ的外れ極まりないわけで、結局の所集客力を用意しているところが強いのである。

と、結構攻めた内容で具体例をあげたが、ここで一旦本題に戻ろう。
つまり何が言いたいのかと言うと、あなたがもし「映画版Rettyを作ろう」と考えたとしたら、ビジョンファーストで勢いのまま作るとほぼ確実に失敗する。
敢えて成功する可能性があるとするならば、「過去のシチュエーションではボトルネックだったものが技術の進歩によりインフラなどが整い超えられるようになったケース」か「パソコンからスマホのようにプラットフォームが切り替わり、ディスラプトしてリプレイスができたケース」の場合のみだ。
そのため、もしそれを思い立った場合は何をしたら良いのかと言うと、過去この10年で現れては消え現れては消えしていった類似サービスの死体を墓場から掘り起こし、死因を分析し、それを自分たちは乗り越えられるのかどうかを検証してから、事業を立ち上げるべきなのだ。
僕に言わせりゃ当たり前の手順なのだけれど、これが若い人にはなかなかわからないらしく、特に初めての起業とか学生起業とかだと、過去に潰れたサービスを知らず、全く同じものを作って、同じところで躓いて、同じ様に死んでいくという、非常に悲しい結末ばかり迎えている。
しかも加えて言うならば、この死体を漁らない事に対して、共存モデルのビジネスは尚更相性が悪い。
ビジネスには、Winner takes allの一強独占モデルと、それぞれがShareを分け合う共存モデルがある。
仮にWinner takes allのモデルにトライした場合、はっきり勝ち負けが決まるから諦めもつきやすいが、下手に共存モデルの場合、皆がそれぞれ同じ微妙なものを作り、同じところで躓いて、それぞれ単黒にならない中途半端な利益を構築し、結果死にたくても死ねない生きる屍ばかりが量産されていくのだ(昨今だと一部のファンクラブサービスがそれに該当する)。
こうなるともう悲惨で、誰も得をしないシチュエーションの出来上がりだ。
そうではなく、冷静に俯瞰してサービスを見て、ビジネスドライバーを見極めて、他社の失敗をチェックし、それに対するソリューションを盛り込み、「Why you(何故お前ならそれができるのか)」という問に対して適切な解を用意した上で、立ち上げるか否かを見極めるべきなのだ。
まあ、そんな事をもうずっと思い続けながら、今日も今日とてPR timesのプレスに目を通す日々を送っている。

「墓場は掘り起こし、死体を漁る事」
シンプルだけど、大切なことなので覚えておいてもらいたい。

さて、では最後に幾つか告知をしたい。
まあでも恒例の僕が運営する起業家向けサロンについてはもう説明はしなくていいか。
毎回書くのも面倒だし、ぶっちゃけここからのCVRは結構低いからな。
サロンはお陰様で可もなく不可もなしで運営している。
来月は新年会鍋パをするので、興味がある人は是非来てもらいたい。
んじゃ何を告知するかと言うと、今更だがTwitterアカウントの告知だ。
実は数年前からTwitterをヘビーユーズしているのだけれど、完全にプライベートで使っていて、ほとんど有用な情報を流していなかった。
毎日毎日「スタバのコーヒー旨い」とか「ウォーキングnow」とか、そんなん聞いても誰も得をしないよ、というのを垂れ流し続けていたわけだ。
これはこれで自分的には気持ちの発散になるので良いのだが、まあ当然だが一切フォロワーは増えることないし、仮にフォローしてくれる稀有な人が現れても、内容のくだらなさに大半の人が(おそらく)ミュートしているという悲しい現状だ。
んが最近の事情を顧みるに、TwitterはStartup界隈だともうビジネスで使われているのが大半で、結構ここからのCVがシャレにならないらしいので、ココに来て腰の重い僕も遂に方針転換をしようと思い立ったわけだ。
そんなわけで、本名でやっていたこちらのアカウントは今後ビジネスで活用していこうと思うので、是非フォローしてもらえたら嬉しい。
今まで行っていたプライベートな内容は、別のハンドルネームのアカウントで引き続き行う(まあ隠してるわけでもないし、知ってる人は知ってるやつだけど)。
とりあえずは頑張って運営していこうと思うので、どうぞよろしくお願いしたい。

@yuki_ikemori

以上。
久しぶりの更新終わり。

あ、最後にもう一度フォローしておくと、実例に挙げた二つのサービスについては、あくまで僕の意見だ。
大手Startupメディアなどの記事では、僕と逆の意見を書いてる僕より遥かにご高名な方もいらっしゃるし、知見のある起業家が肯定的な意見を書いている記事もチラホラ見る。
なので何度も言うようにもともと賛否両論のアイデアだし、僕が絶対に正しいかと言われると、そうではないとも思う。
本当にしつこいが、あくまで僕の意見だ。
反論を言いたい人がいるのも分かるが、この点、ご理解いただきたい。


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