「100%信じて従ってくれ」という指示について

今回は顧問・メンターとして教えることの難しさについて語りたい。

起業家として事業を興す上で、メンターというのは非常に有用な存在だと思う。
センスのある人間が長年の経験と知恵から導き出されるものを、即座に教えてもらえるのだから、この上なくありがたい。
かくいう僕も2011年頃、二社目の株式会社フリッグを経営している時にメンターを付けたことがある。
そのメンターをここでは仮にA氏としておこう。
A氏は学歴も経歴も十分なある程度年齢のいった男性だ。
ネットワーキングの場でお会いして、僕からお願いしてメンターになっていただいた。
ただこれがなかなか難しいもので、当時の僕が何も知らない調子に乗ったクソガキだった為に、喧嘩ばかりしてしまった。
基本的にこのA氏の意見は正しいのだが、ことITの最新な事になると僕のほうが知見のある時があり、そこで間違えた指示を出された時に不信感が溜まってしまい、結果ITに関係のない本来ならばA氏の得意分野である指示にまで疑いをもち、上手く指示を聞くことができなくなった。
最初に言うと、この繋がりに関しては確実に僕に非があったと今では分かる。
当時は反発ばかりしていたが、A氏が言う指示は今振り返ってみると的確であり、あれだけ鬱陶しいと思ってた大量の資料も有用なものばかりだった。
今になって僕が誰かに偉そうに薀蓄を語る時、それのソースはどれもA氏からの受け売りだったと気づいた時には、苦笑してしまったものだ。
僕がよく言う「深掘りしろよ」というのはA氏がまさに口を酸っぱく言っていた事だし、何かの折に資料を探していたらA氏が僕にくれた資料がそれだ。
そんな事が多々あり、その都度僕はA氏の事を思い浮かべるわけだ。
思えば色々変に反発ばかりして、可愛げのないメンティーだった。
いつか機会があれば詫び状を送りたいと思って入るのだが、なかなかそれが果たせないままでいる。

っと、前置きが長くなって申し訳ない。
今回は別にA氏の回想をしたいわけではなく、ちょっとメンターとしての教え方について書きたいことがある。
A氏のメンタリングを当時受けていて、どうしても嫌だった言い回しがあった。
それは「池森さん、私が指示を出したことはどんな内容であれ100%完全に信じて従ってください。疑いを持ちながら従うのではなく、完全に信じて振り切ってください」というものだ。
僕は当時一社目の方で随分稼いでたこともあり、変に自信がついていたので、これがなかなか受け入れられなかった。
「そうは言ってもよー。俺の意見も聞いてもらいたいし、何事も納得してやりたいのよ。あんたたまにTwitterの使い方とか間違えてるじゃんよー」的な感情があったのだ。
それもあってギクシャクしてしまい、結局二社目の売却に伴い関係性が切れてしまった。
そういうこともあってか、僕は人に教える際「僕の決めた決断は必ず当たるとは言わないけれど、成功確率は君が選ぶ決断より高いと思う。この決断において何か異議がある場合は言ってくれ。柔軟に対応するし君の判断が正しいと思うのならばそれを採用するから」というようにしてる。
「僕のほうが正しいと思うけど君の意見も聞くし正当性があるなら受け入れるよ」という感じだ。
これはまさに僕がやってもらいたかった方式だし、相手の意見も聞く僕の柔軟性は良い姿勢だと思っている。
しかしつい先日顧問先の一社とこれについて議論したところ、教わる側からしたらこのやり方は微妙だと言われた。
曰く「毎回池森さんの意見を完全に信じて従えと言われる方が良い。反対意見を言って下手にそれが採用されると逆に池森さんの指示を信じられなくなる。100回中99回は正しいとしても、一度疑ってしまうと、本来なら素直に従ったほうが良い99回ですら疑わないといけなくなる」と言われた。
正直この意見には衝撃を受けた。
もちろん僕としては良かれと思って相手の意見を聞いていたのだが、まさかこんな風に思われていただなんて。
僕は何事も自分で納得してやりたいと思っていたのだけれど、逆効果だったなんて。
多種多様の人の受け取り方には本当に驚いた。
そんな話をしている時に、もちろんA氏の顔が頭に浮かんだ。
もしかするとA氏は長いメンター経験においてこういうやり取りを何度も経てあの形式に落ち着いたのかも知れない。
長年の経験の末にたどり着いた結論だったのではないか、と。

人間何歳になっても日々是精進、学びを続けるべきだと思う。
今回の件は「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」といえばよいのか。
まあ考えてみりゃ僕も来年40歳になるが、言うてもまだ40歳なわけで、まだまだ中堅というところか。
しかもずっと起業家としてプレイヤーで生きてきたから、ことさら教える側の経験としてはまだまだまだまだヒヨッコということなのだろう。
学ぶ姿勢を忘れず生きていきたいものだ。

と、改めて振り返ってみても、色々学びのある出来事だった。
これを読んでくれた人にも何かしら気づきがあれば嬉しく思う。

今回の話はこれにて終わり。
以上!


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